2012年06月17日

夫婦の絆

ザ・ノンフィクション
君を待っている〜不妊治療の今〜


40分の1。
これは体外受精などの補助生殖医療で生まれる赤ちゃんの数。
不妊治療には資金の面など厳しい問題がある。

不妊治療の現実を描いてきた漫画家がいる。
不妊との戦いはすでに10年を超えた。
忙しい仕事と根気の必要な不妊治療の両立。
続けている理由は一つ。
「子供が好きな彼のために赤ちゃんを産みたい」とう切なる願いがあるからだ。
妻としての大きな役割りと考えている。
二人三脚で続けてきた不妊治療。
45歳の体が妊娠できる可能性はごくわずか。
そんなとき夫婦は大切な約束を交わす。
不妊の理由はひとそれぞれだ。
70万円の治療費のため、パート漬けの毎日。
往復3時間かけて専門病院へ通う。
妻の焦りと苛立ちはピークに達していた。
夫は不妊の原因が自分にあることで妻への負い目を感じている
4年間続けてきた不妊治療で夫婦に大きな溝ができていた

神奈川県川崎市
一本木蛮さん(本名:藪中真里)キャリア30年のベテラン漫画家だ。
大学時代にデビュー。コスプレをするユニークな漫画家として注目を浴びた。
現在も連載を抱え、締め切りに追われる日々だ。
真面目で頑張りやの蛮さんを常に気遣ってくれる最愛のパートナーである夫の藪中博章さん。
フリーランスで映像の編集や作曲の仕事をしている。
仕事仲間を通じて出会った二人は1996年に結婚。
忙しい蛮さんのもとへ博章さんが引っ越す形で生活している。
夫は子育ては全部自分がやるので漫画描いてて下さいとまで言ってくれている。
しかし、その夢はまだ叶っていない。
結婚4年目から不妊治療を始め、すでに10年が過ぎた蛮さん。タイムリミットがせまっている。
病院で残っている卵子の量を調べた。
数値は同世代の1/6以下。
厳しい結果だ。そして閉経まであと数年だと言われている。
この1年半不妊治療を受けるために治療費を貯めてきた。
その間にも排卵で貴重な卵子は失われてきた。
しかし、あくまでも二人は前向きだ。
そして不妊治療がスタートした。
妊娠するのなら西洋医学でも東洋医学でもなんでも取り入れる。
不妊に効くと言われて針も打ってみた。
病院では筋肉注射。自宅でも自分で注射をする。
卵子の発育や、排卵を整えるための治療だ。
少しづつ薬と針治療の成果が現れてきた。
卵胞が2つ大きく育ってきた。
40歳以降の妊娠から出産までの割り合いは1割弱だという。
それにあわせて食事も変えていく。
そして採卵日。
病院で卵巣から卵子を取り出すため、蛮さんは夫の精子を持って病院へ向かう。
取り間違えのないよう何度も本人確認をする。
細い針で卵胞液ごと採取する。
取り出された卵胞液はすぐ培養液に移される。
この採卵に掛かった費用は273000円。保険はきかない。
蛮さんが帰ったあと、病院では体外受精を始める。
高齢体外受精の場合、顕微授精をするのが一般的だ。
極細の針に取り込んだ精子を卵子に注入する。
採卵から5日目、病院から嬉しい知らせが届く。
2つの卵子のうちの1つが受精し、細胞分裂が始まっているという。
これをタイミングを図って体内に戻す。
胚移植日。
凍結保存しておいた凍結胚を体内に戻す。
受精卵が子宮内膜に着床したら晴れて妊娠となる。
妊娠判定は二週間後だ。
判定は採血検査によって行われる。
検査の結果を待つ。
結果は・・・
判定は陰性。今回も妊娠はしていなかった。
あと1回。
蛮さんは次で終わりにしようと決めた。

蛮さん夫婦の最後のチャレンジがはじまった。
再び2つの卵胞で受精をすることに。
今回は夫の博章さんも胚移植に立ち会う。
妊娠判定日。
残念ながら最後のチャレンジは終了した。
もうこの病院にも来ることはない。
夫の博章さんもメールで結果を知る。
2人の長かった不妊治療はとうとう終わった。

博章さんは蛮さんを鴨川シーワールドへ連れ出した。
漫画家じゃなかったら獣医になっていたというくらい動物が好きな蛮さん。
この旅を不妊治療からの卒業旅行にするつもりだ。
「お疲れ様でした」
蛮さんは夫のこの言葉を噛み締める。
そこへ夫からのサプライズが。
卒業証書だ。
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卒業証書

あなたはこの度長年続けてきた不妊治療を卒業いたしました。
毎回投薬や注射、そして手術と、精神的・肉体的、
そして金銭的にも多大なる負担をかけっぱなしで、そのひたむきな努力にはただただ頭が下がります。
結果として、新しい家族を迎えることは出来ませんでしたが、
それと同じくらい、大切な絆を得ることができたと思います。
原稿や学校の合間に病院、そして家事と、本当に休まる時間の無い治療期間でした。
これもあなたの実直で真面目で、何とか成し遂げてやる!
といった性格から来ていたのだと思います。しかし、結婚して15年が過ぎ、
二人共老いを感じるようになってきました。
この機会に、新たなる生活を始めたいと思います。無理はせず、休みながらでもいいので、
残り何年一緒にいられるかは解りませんが、ゆるゆると歳を重ねていきましょう。
これからも宜しくお願いします。 

夫 藪中博章 
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そして、記念のペンダントをプレゼント。
ここから新たな二人の人生が始まる。

神奈川県藤沢市。
この町まで1時間半かけて不妊治療に通う木村直樹さん、こづえさん夫妻。
治療生活はもう4年になる。
この日は体外受精4回目の判定日。
・・・また駄目だった。
もう限界にきていた。

神奈川県足柄上郡に住む木村さん。
妻こづえさんの日課は夫のためのお弁当作り。
このところ不妊治療の薬のせいで調子が悪い。
夫婦の会話も少なくなってきている。
夫の直樹さんはここのところ休みもなく働き詰めだ。
必ずしも子供が欲しいわけでもない直樹さんと子供にこだわるこづえさんのと間で少し温度差がある。
こづえさんの笑顔が見たいと思い、飼った2匹のペットは心を癒してはくれるけれども
夫婦の距離を埋めることはできなかった。
二人は6年前の2006年に結婚。
結婚後まもなく妊娠したが流産。
検査の結果、原因は夫の直樹さんにあった。
精子の動きがよくないという。
妻のために何ができるのだろう。
悩む直樹さんだが何もできない。
方法は体外受精しかない。
こづえさんはパートの時間を増やし、治療にかかる70万円を貯める。
なかなか治療が再開できないことに焦りを感じていた。

そんな中、久しぶりの休暇を取り、直樹さんはこづえさんを連れ出した。
知人から湯河原町にある子之神社を紹介された。
ここは関東一古いとされる子授け神社だ。
そこにある祈りの石。
夫がこの石をまたげばその夫婦には子が授かるという。
二人で願をかける。
半信半疑のこづえさんだが、夫の気持ちは嬉しかった。

木村さん夫婦の5回目の杯移植。
今回は病院から新たな試みを提案された。
本命の受精卵とともに、未熟な質の悪い受精卵を同時に戻すというのだ。
前回、質の良い受精卵だけを移植しても妊娠しなかったこづえさん。
未熟な受精卵を一緒に戻せば、補助的なエネルギーが増えるので、本命の受精卵がしっかり着床し、
妊娠の確率が高まるだろという医師の狙いだ。
一週間後、判定日がやってきた。
こづえさんは一人で病院へ向かう。
直樹さんは自宅の事務所に残って一人で仕事。
どうしてこづえさんだけを病院へいかせたのだろうか?
こづえさん本人が今回の可能性の低さを感じ、夫の付き添いを断ったのだ。
血液検査をする。
まただめかもしれない。期待しすぎずに結果を待つ。
採取された血液は分離器にかけられ、検査機へ。
5年目の不妊治療。
結果は・・・

なんと妊娠していた。医師の狙いが見事成功したのだ。
こづえさんは思わず涙ぐんだ。
直樹さんのもとへ急ぐ。
自宅で報告を聞いて信じられない顔の直樹さん。
何年ぶりだろうか、二人に心からの笑顔と喜びの涙が溢れる。
それからあっという間に時は流れ、
2012年1月14日。
出産の日。
もちろん直樹さんも付きそう。
無事男の子を出産した。

君を待っていた・・・
妻よ 僕の子を産んでくれてありがとう。
夫よ 私を支えてくれてありがとう。
この瞬間にも多くの人たちが自分の子供を望んでいる。
君を待っている と。


一人の子を持つ私には考えさせられる内容でした。
妊娠するまでにこれだけお金がかかり、
夫婦で努力し続けなければならないのか。
特に蛮さん夫婦は高齢で、閉経が近づいているにもかかわらず、
お金が貯まるまで治療が受けられないという状況は
精神的にも苦しかっただろうと思います。
妻の苦しさはもちろんのこと夫の苦しさも見ていて辛かったです。
木村さん夫婦。
直樹さんは妻のことが第一で、
妻が元気で楽しくいられるのが一番と考え、妊娠、出産はその次という考え。
こづえさんは「直樹さんの子供が欲しい」それが第一。
どちらも悪いわけではないのにすれ違ってしまう。
年齢と体調なかなか思い通りにならない中で妊娠に臨む。
そこで妊娠、出産までたどり着けるのはまさに奇跡。
生まれてくる命をどうぞ大切にしてあげてください。
私も今日は息子の寝顔を見ながら一緒に寝ることにします。
私の家族にも起きた小さな奇跡を深く噛み締めながら・・・


最後に番組中で取り上げられていた病院を紹介いたします。
・Fertility Clinic Tokyo(ファティリティクリニック東京)
・山下湘南夢クリニック
少しでも不妊に悩んでいるご夫婦のお役に立てれば幸いです。


日本で不妊治療を受けるということ/まさのあつこ

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posted by ドキュメントまにあん at 10:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ザ・ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして
中学生時代は一本木蛮先生のファン。
現在は不妊治療中の主婦として
ほんとうに興味深くこちらのエントリよませていただきました。

私も僭越ながらドキュメンタリーが大好きで
ドラマ・バラエティそっちのけで見てしまうたちです!

年の差夫婦の民宿や、サーカスのエピソードも
へぇぇ と驚きながら読ませていただきました。

素敵なホームページありがとうございます!!^^
Posted by きくらげ at 2013年06月14日 23:41
コメントありがとうございます。

リアルタイムで一本木蛮さんを知ってるとは、かなり年期の入ったファンですねw

私も昔からドキュメンタリーが好きで観ていたのですが、
通常の番組よりも時間も手間もかかっているのに、
深夜でしか放送されない不憫な状況に「もったいないなぁ」という思いを抱いてました。
そこで、「みんなでドキュメンタリーを観ようよ」という思いと、
「この感動をいつまでも自分の記憶に残しておきたい」という思いからこの書き起こしブログを始めました。

そのまんま書き起こしただけですので意味が分からない部分、
説明が足りない部分があるかと思いますが、できるだけ文章だけで伝わるよう努力いたします。
これからも末永く、かつ生暖かく見守っていただければ幸いです。
Posted by ドキュメントまにあん at 2013年06月15日 08:31
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