2012年05月24日

笑顔の裏

ザ・ノンフィクション
アイドルの家〜涙の数だけ抱きしめて〜


横浜・日ノ出町
アジア系外国人の姿が目立つこの町に一人の少女がいた。
大竹愛子さん(17歳)県立高校の三年生だ。
愛子さんはグラビアアイドルをしている。
ファンサービスの水着撮影会では、カメラに向かってポーズをとるのも慣れてきた。

自宅は築25年の古いマンション。
今時のギャルに見える愛子さんだが、家では全く別の顔を持つ。
家庭の主婦代わり、そして幼い弟の母親代わり。
一緒に暮らしているのは建築業で働く父親の求さん(もとむ)(59歳)と弟の洋くん(ひろし)(10歳)だ。
愛子さんの母ジェニファーさん(39歳)は一年前に突然家族をおいてフィリピンに帰ってしまった。
そこには深い訳があった。
日曜日、父は朝の10時から酒を飲み始めた。
昔気質の父は家事に手を貸そうとはしないので、全ての家事は愛子さんがしなければいけない。
こうしてあっという間に休日は過ぎていってしまう。
洋くんには喘息の持病があり、発作が起きた時に看病するのも愛子さんだ。
夜になると父親の酒が増え、からんでくる。愚痴はいつも出ていった母親への未練。
母は父の酒癖の悪さに愛想を尽かし出ていったのだ。

両親はフィリピンパブの客とホステスとして出会った。
父はすでに家庭を持っていたが、20歳年下の母に入れ込み、不倫関係のまま愛子さんを出産。
愛子さんは7歳になるまでフィリピンで祖母に育てられ、近所でも評判の美少女だった。
そのときの夢はタレントになること。
7歳になってはじめて日本へやってきた。
そして父の離婚がやっと成立。しかし、両親とも仕事が忙しく、愛子さんはいつも一人だった。
運動会でも日本語がよくわからない中、両親は不参加。寂しさでいっぱいだった。
愛子さんの孤独を癒したのはやがて生まれた洋くんの誕生。
弟の世話をやくのが幼い愛子さんの生き甲斐になった。
両親はいさかいが絶えなかった。
母はホステスを続けていたため、男性関係が派手で、嫉妬した父は酒に溺れ、手を上げたこともあった。
2人の子供は喧嘩のたび、息を潜めてやり過ごしてきた。

グラビアアイドル”大竹愛子”の時だけは全てを忘れることができる。
仕事の帰り、洋くんに電話をし、お弁当を買う。洋くんの夕食だ。
最近は食費も愛子さんが負担することも珍しくなくなった。
芸能活動をするのには経済的理由もある。父の仕事も不景気でめっきり減ってしまったからだ。
父と弟に縛り付けられた生活。

父は愛子さんの帰りを待っていた。今日両親は久しぶりに会話をしたというのだ。
いつものように酒をあおりながら愛子さんに話す父。そこに愛子さんの不満が爆発する。
両親と暮らしていた頃の板挟み状態を思い出し、あのときの居心地の悪さを父にあたる。
一時間後、母からも電話が。
母は家には帰りたくない、しかし病弱な洋くんが心配なのだと涙ながらに語った。
愛子さんは板挟みだ。

東京浜松町。
アイドルグループ「Tokyo CheerA Party」のライブが行われていた。
ライブのあとはファンとの握手会。
人気のメンバーは何度も呼ばれるが、あまり声がかからず手持ち無沙汰な子がいる。
原口貴妃さん(13歳)だ。
ちょっぴり落ちこぼれなのは本人も自覚している。
ところが人気のメンバーに嫉妬するというよりも尊敬しているという。
夜、深夜バスの列に並ぶ貴妃さん。
実は彼女、奈良県在住のアイドルなのだ。
平均月6回東京に通っている。交通費は一回2万円。全額親が負担している。
その上、グループの売り上げがまだ赤字なのでギャラはまだ一度も貰ったことがない。
深夜バスで奈良に着くのは登校ギリギリの朝7時過ぎ。

奈良県北葛城郡広陵町。人口三万人の小さな町。
貴妃さんの家は家賃2万5000円。トイレも汲み取り式だ。
ここで看護師の母里巳さん(45歳)と暮らす。
両親は貴妃さんが小学校三年のときに離婚した。
それ以来母と娘は共通の夢に向かって走っている。
”芸能界で花を咲かせたい”
この朝も貴妃さんは一睡もしないまま中学校へ向かう。

タレント活動がない日もスケジュールはレッスンでびっしりだ。
木曜日はピアノのレッスン月謝は6000円。
水曜日は4歳から続けているクラッシックバレエ。月謝は8000円。
火曜日にはギター教室。月謝は15000円。
さらにボイストレーニングも。月謝7500円。
母は自分のことにはほとんどお金をかけない。髪すら自分で切る。
貴妃さんにこれだけの習い事をさせるのは母の強い思いがある。

離婚する前は大きな家に暮らし、何不自由ない暮らしだった。
しかし、突然父が別れて欲しいと母へ告げた。
父も母も貴妃さんを引き取りたいと譲らなかったが、最終的には貴妃さんが母と暮らす事を選択した。
父にはもう3年も会ってない。
離婚後、父は貴妃さんの友人の母親とすぐに結婚し、子供も生まれた。
貴妃さんは偶然この事実を耳にしたのだ。
それから貴妃さんは父にもう未練はないという。裏切られた気持ちでいっぱいなのだ。

母は老人ホーム内の病院で看護師をしている。週に2回は夜勤がある。
貴妃さんの東京までの交通費は月に数十万円。習い事に月4万円。
母の給料の3分の2は貴妃さんの芸能活動に消えていく。
貴妃さんは母の思いを良くわかっていた。
母は父を見返してやろうという気持ちでやっているのだ。
一人でもこんなに立派に娘を育てることができたと言いたいのだ。

今日はTokyo CheerA Partyの新曲の振り付けの日。
貴妃さんは踊りを止められてしまった。
踊れない子は後ろに下げられてしまうのだ。
踊れない貴妃さんは後ろのグループへ定着しつつあった。
さらに全員が参加できないライブでは直前に出演メンバーの発表がある。
貴妃さんは出演できないことが多くなってきた。
結果がでない娘に奈良の母は心が揺れ始めていた。
このまま続けさせていいのだろうか?

最近煮え切らない態度の貴妃にマネージャーからも声が掛かる。
貴妃は努力していない。甘えている。これ以上チャンスを与えることはできない。
最後通告だ。
やめたくはない。胸の奥に隠していた本音を語る。
本気になれないのは本気でやって結果が出ないとわかったときのショックが怖いからだ。
原因は父。
大好きだった父に裏切られたときの心の傷。
もうあんな思いは二度としたくないのだ。それ以来あまり何事に対しても期待しなくなった。
心にブレーキをかけているのだ。

一方、愛子さんは父が母恋しさのあまり毎晩酔いつぶれるのに我慢できなくなり、
母に会って父の思いを伝えよう。と決心した。

フィリピン・マニラ
マニラから車で3時間の田舎町。バターン州ディナルピパン。
家には愛子さんに会いたいと親戚がたくさん集まっていた。
母が戻ってくることが良いことなのかどうかはわからない。
また喧嘩になって弟が傷つくかもしれない。
しかし、父が酒さえ飲まなければ喧嘩もしないはず。
愛子さんは母にそう提案しようと思っていた。
親戚が集まって市場へ買い物へ行く途中、母と二人で話した。
母は、父が酒を控えるのならば日本へ戻ると約束をしてくれた。
そして一ヶ月後、母は日本に帰ってきていた。
弟の洋くんも生き生きとしている。
家事から開放された愛子さんはネイルアートをしていた。
そこへ帰宅した父は満面の笑み。
しかし、
帰るなりビールの栓を開ける父。
母の出した条件は反故にされてしまっていた。

二ヶ月後。
破綻が訪れた。
母が出ていった。今度は弟の洋くんを連れて。
ある朝、買い物に行くと行ったきり帰ってくることはなかった。
不意打ちだった。
愛子さんは弟と引き裂かれてしまったのだ。
残されたのは妻の欄に記入済みの離婚届のみ。
いつものように酔って自分勝手な主張を繰り返す父に愛子さんは反抗する気力もなかった。

愛子さんは現在も父と二人暮らしを続けながら仕事をしている。

一方、貴妃さんは吹っ切れていた。
”どうでもよくなった、気にしたら負けかなと思う”
人が変わったかのように前向きになっていた。
彼女はグループのセンターで踊っていた。
母と自分の夢のため、前へ進むのだ。


二人のアイドルを追いかける内容でした。
最近ではこのような構成の番組は”ステマ”と呼ばれてしまうのでしょうか。
恵まれていない環境で頑張るアイドル。
ファンに見せる笑顔の裏には様々な物語があるんですね。
番組を見ている中で一番許せなかったのは愛子さんの父親です。
酒に溺れたせいで母親に愛想をつかされたのに、まだ酒に頼ったままで
妻に帰ってきて欲しいと愛子さんに愚痴を言う。
彼には何も言う権利はありません。
父親としても夫としても失格です。
もっと決定的な何かがないと改心しないでしょうね。
そして、貴妃さんの母親。
自分の身を削ってまで娘をアイドルにさせたいと強く願っています。
いざ貴妃さんが売れっ子アイドルになったり、更には
結婚して家を出ていってしまったら母親はどうなるのでしょう?
生き甲斐を無くしてしまわないか非常に心配です。

とにかく二人とも境遇に負けずアイドルとして頑張ってください。


Tokyo CheerA Party公式サイト

大竹愛子さんのブログ



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posted by ドキュメントまにあん at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ザ・ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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